コラム
実務翻訳者になりたい人の必要な4つのスキル
翻訳とひと言で言っても実務翻訳、文芸翻訳、映像翻訳など様々な種類の翻訳がありますが、
当然ながらその全てにおいて高い外国語スキルが求められます。
しかしそれだけではスタートラインに立ったにすぎません。
実務翻訳をしていく上で、他にどんなスキルが求められるのかを4つに分けて順にご説明します。
①日本語スキル
外国語スキルの次に求められるスキルとしては日本語スキルがあります。
どれだけ外国語スキルに長けていても、それを自然な日本語に置き換えることができなければ立派な翻訳者とは言えません。
(尚、ここでは外国語から日本語への翻訳を前提に話をしていますので、日本語から外国語への翻訳の場合は完璧以上の外国語スキルが求められるでしょう。)
外国語以上に日本語の語彙力を身に付けることが肝要になってきます。
普段から活字に触れている人の方が有利に働くのは間違いありません。
②表現力
特に文芸翻訳、映像翻訳の分野では、芸術作品や娯楽作品を扱いますので、様々な感情を的確に表現するスキル、臨場感のある表現するスキルが求められます。特に小説、映画、ドラマなどの場合、作家の意図を汲み、その言葉の裏に隠れた意味を把握しないと本当の意味でいい翻訳はできません。
他にも登場人物の年齢、性別、性格によって言葉遣いも変わってきますので、登場人物に合った翻訳が必要です。 また映像翻訳の場合、セリフに合わせた秒数の制限もあるので、限られた秒数の中で如何に作者が意図するものを遜色なく表現することができるかが重要になります。
③リスニング力
これは映像翻訳の分野で求められるスキルですが、ちょっとした相槌や簡単な会話が意図するものを正確に把握することが求められます。もしそれを誤ってしまうと誤訳などにつながってしまい、翻訳の質を大幅に下げてしまうことにもつながりかねません。 単純なリスニング能力のみならず、作品全体の流れやストーリーを理解した上でのリスニング力が求められます。
④リサーチ力
取り扱う分野によっては、専門用語が多用されることがあるため、その分野の専門知識が求められる場合があります。
特に医学、工学、法務、経済、ITなどの分野での翻訳、いわゆる技術翻訳、産業翻訳と言われるものは、専門分野への精通はもちろんのこと、常に業界情報にアンテナを張り、最新の動向をつかんでおくことも重要です。
また、文芸翻訳、映像翻訳の分野においても、社会背景や時代背景に合わせた語彙や言葉遣いが求められますし、例えば医療ものであれば、医学的な知識が求められることもあります。
その都度、その分野の調査を行い的確に翻訳内容に反映していくスキルが求められます。
以上、単に翻訳と言っても、外国語能力だけでは対応することは困難です。 経験を重ねていく中で、上述以外に人脈づくりや真摯な姿勢、ノウハウを如何に磨いていくかが優れた翻訳者になれるかどうかのキーポイントになるでしょう。